YUKIの読書日記

30代半ばになって「読書感想文」を書くことの大事さを知った。どうせならブログに残しておこうと思った。

Web3とメタバースは人間を自由にするか

Web3とメタバースは人間を自由にするか https://www.amazon.co.jp/dp/B0BMPQ9CTP?ref_=cm_sw_r_apin_dp_F6Z7TQ8QJ2VHXBXXSB6K

この本は、佐々木俊尚さんが考える
「今注目されている技術を使ってこんな未来になれば素敵だよね」を紹介した本です。

「そんな未来になれば確かに素敵だね」と私は共感したし、共感しない人は非常に少ないのでは無いかと思います。
「素敵な未来」とはざっくり説明すると「人と人とが今まで以上に繋がり合う未来」です。

ここまで見ると「この人、頭の中お花畑かなw」と嘲笑われるかも知れませんが、この240ページ近くの本を読み終わった後には「お花畑とか言ってごめんなさい」となるはずです。

 

本書の1番のテーマは「関係と承認」だと私は思います。

1.「トークンエコノミー」。
Web3.0に必要とされる「ブロックチェーン技術」を利用した暗号資産のようなものです。

単純にこの技術を利用しただけでは「ただのマネーゲームになっちゃうからダメだ」という事で
「佐々木流」のアレンジが本書で提案されています。

売買することによる金銭的な価値得られる役割を果たす
「金銭的な価値」に加え
「サービスとの交換の価値」
「株式的な価値」
を付与するというものです。

「株式的な価値」には「クラウドファウンディング」に近く「魅力的な商品を作る人」「個人的に注目しているインディーズバンド」など、応援した人達のトークンを買う。もしくは買ってもらう、ということ。

例えば

『「あの頃応援していたインディーズバンドが今では紅白常連の顔になったな」

あの日あの時、とあるインディーズバンドの演奏に心を釘付けにされた。
お布施と応援の気持ちをこめて当時販売されていた「応援! 1000トークン」を購入した。
それが今では「1000トークン」が「50000トークン」ときたもんだ。凄いなあいつら50倍だぞ。

1000円で買ったものが今では50000円。

儲けはデカい、が。
しかし…あの日あの時購入した唯一無二の「トークン」を見ながら
「私はインディーズ時代から応援している古参だぞ。儲けはでてもニワカにこれは金を積まれても渡さん」などと優越感に悦に浸るのもやめられないんだよなぁ』
みたいな事が本書で書かれています。

作品紹介でもあった「推し活」がこれで、「関係と承認」に必要な技術の1つです。

2「メタバース
こちらも「関係と承認」に必要な技術の1つ。
メタバースとは何か」この説明はここでは省きます。

私が特に重要だと思ったのが「アバター同士の目線と目線が合わさる」
というこれはzoomやMMORPGにはないメタバースにしか無いものです。

「目線が合わさる」ということは「私は見られているる」ということ。承認欲が強い人弱い人 様々いると思いますが「承認欲が無い」人は中々居ないと思います。

「見られている」ことは実は非常に大事なことらしく
「1997年 神戸児童連続殺傷事件」を例に説明されています。

3.「ユニバーサル・ベーシックキャピタル」という経済の仕組み

これは「ベーシックインカム」をパワーアップしたような仕組みです。

『2008年のリーマンショックの時、倒産しかけていた金融機関に7千万ドルの公的資金を投入した。
公的資金は元を正せば国民が納めた税金だ。リーマンショックがひと段落して再び金融機関が儲けを出しても国民には一切リターンが無い』

また、
『GAFAMなど巨大な会社はAIなどの技術で儲けを出している。その技術が磨かれたのは大学などの機関での基礎研究に税金を投入したからだ。
国民のお金でAIなどの技術が進歩したのに国民への金銭的なリターンはあまり無い。(リターンを得た人と言ったらGAFAMの株で利益を得た人ぐらいだろう)』

簡単にいうと
「税金で救済を受けた企業、税金で成長した企業は法人税などを多く払い、多く払った分を国民に還元するべき」
という仕組みが「ユニバーサル・ベーシックキャピタル」です。語弊はありますが大体こんな感じの仕組みです。

「AIに仕事を奪われて大変だ」「しかしベーシックインカムを導入するには多大なコストがかかる」と昨今騒がれていますが、
この制度があれば「全国民が住んで食べていける位のお金」はベーシックインカムで賄えるのかもしれないですね。

必死に仕事をする必要が減るので余暇時間が増えます。
「人と人とが(仮想空間などでも)触れ合う時間」も増えますね。

4.最後に

以上が本書のテーマだと思った「関係と承認」に特に重要だと感じた技術や仕組みです。

他には
「自動運転技術が完璧に広がると渋滞は無くなる」とか
「この世界とメタバース世界が相互作用する為に必要な技術」とか、
メタバースの行き着く先は『映画マトリックス』のマトリックス空間のような現実と区別のつかない仮想空間になるだろう」とか
色々な技術が私達の暮らしをどのように変えていくのか。読んでいるとワクワクが止まらくなります。


「未来は巨大企業やAIに支配された暗いものだ」と思っている人は少なくないと思います。

この本を読み終わった後
「未来は思っていたよりも明るいものになるかもしれない」と少し救われた気持ちになる。

そんな本と出会いました。

追記)
例えばAIについては
文藝春秋 私たちはAIを信頼できるか」などのAIの本を読む方がAIについての理解がより深まりますし、
メタバースに関しては本書で紹介されている
技術評論社 メタバース進化論」などを読んだ方がより理解が深まると思います。

本書は「注目されている技術をわかりやすく説明した入門書的な役割」の本だと思います。